看護の基本的な考え方
看護は、胎生期から死に至る人間の一生のすべてのプロセスの健康問題解決のために働く社会的機能です。
その実践の基盤で何よりも大切なことは、生命を尊重する思想であるといえます。
とりわけ臨床看護の場合には、対象が病人や障害者であったり、乳幼児や妊産婦、あるいは老人のように、健康な人とは違って、外からの刺激や感染に対する抵抗力の弱い人たちです。
なので、その過程で極力危険を避け、安全な生活が送れるように配慮することが重要です。
また、現代の医療技術の到達点をもってしても、根本的には治癒の難しい場合や、死の避けられない患者を看護しなければならない場合も当然あります。
そうした状況にあって、看護する者の死生観を問われる場面は数多くあります。
しかも、抽象的な問題としてではなく、目の前のその人の人生についての考え方を問われる場面が少なくありません。
末期の患者さんを看護している過程で、「こんなに苦しいのなら、いっそひと思いに殺して」という患者の叫びや、病人の介護に疲れ果て、「延命装置を切ってほしい」という家族の悲痛な声さえ聞かれることも珍しいことではありません。
現在医療技術の進歩はこれまで想像もつかなかったような治療の成果を生み、人間の寿命を延長しました。
その一方で、こうした声が出てくる現実を受け止めなければならない看護師という職業は本当に大変な仕事です。